新しい場所で、最善を尽くして生きる

田舎暮らしの夢を抱いても、スムーズにそれを実行に移せる人とそうでない人がいる。その差は、いったいどこにあるのだろう。田舎暮らしは単なる場所の移動ではなく、暮らし方を含めた人生の転換であることはすでに述べた通りである。したがって、気候、自然環境、人間関係、家庭経済、医療、交通、趣味等を含め、新しい暮らしを始めるうえでのチェックポイントを整理しはじめると膨大な項目にのぼってしまう。すべての項目を綿密に点検し、少しでも不安を解消し、万全の準備で望みたいと考えても、いつまでたっても「これで安心」という答えは出てこない。あれこれ考えれば考えるほど不安は増大し、マイナス面が大きくクローズアップされ、問題解決どころか不安の糸はからんでいく一方だ。こうなると、本来は喜びであるはずの田舎への移住も、人生のすべてを賭けた一大勝負といった感じになり、失敗が許されないと緊張感も高まっていく。田舎暮らしをいつまでも夢で終わらせてしまう原因が、こうした考え過ぎや、過剰な不安感にあったりする。田舎暮らしを実現できる人と実現できない人の差は、ほんのわずかでしかない。未知の暮らしに対する不安感は、どんな人間にも平等に存在する。問題は、それをどうとらえ、どう克服するかにかかっている。そんなとき、中村さんの長い転勤生活から学んだ人生観は、田舎暮らしを夢みながらも蹄路している人びとへの格好の教訓になりそうだ。

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